不惑わくわく日記

大阪でコンサートをあさっています。

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高関健のエッセンス凝縮、内容からすればこれほど格安の演奏会が他にあるか?・・・・京響定期

タイトルどおりです。

京都 京都コンサートホール
京響第536回定期演奏会
高関健指揮 京都市交響楽団
ウェーベルン:管弦楽のための5つの小品作品10
ウェーベルン:大管弦楽のための6つの小品作品6(1928年版)
マーラー:交響曲第7番ホ短調「夜の歌」

ふっとこれを打ちながら気がついたのだが、今期の京響、客演が三ラインあることに気がつく。秋山→高関→尾高→井上という重鎮ラインと、若手二人(飯森→沼尻)のライン、および外人指揮者二人のライン、ですね。で、前者の重鎮ラインのプログラムをしげしげと見ると、すべてソリストが入らないプログラム。これって要するに、「あなたに全部任せました、好きにやってください、ご存分に!!」っていうことですよね。ぐすたふくん、前回の秋山さんと今回の高関さんを続けて聴いたものだから、この二人がいかにそれぞれで自分のやりたいことを強烈にやっているか、そのプログラムの対比を感じること、実に強烈。

今日のプログラムなんて、高関健以外、だれがこんなプログラムを組むんだ、というプログラム。最初は、ウェーベルン、作品6から作品10という並びだったのを、気がついて直したのも秀逸。作品10→作品6→マラ7と並べると、要するに時間が逆行していくんですよ。そして、音楽も逆行していく。作品10の極限まで蒸留された強烈な度数のスピリッツが、作品6のような単回蒸留酒を何度も蒸留して得られたものであり、それはマラ7という芳醇極まりない醸造酒を起源としている、ということが身をもってわかる。

しかしそれにしても、作品10の美しさといったら!!! こんなに美しい曲だったんだ。CDにしてしまうと、この曲の持っている繊細な倍音の結晶のかなりが飛んでしまって、気味の悪さばかり耳についていたことに気がつく(これは、しばしば現代音楽作品で経験することだが)。ペット1、ホルン1、ボーン1、クラリネット2、オーボエ2、打楽器3(マリンバ・シロフォンを含む近位地の一群)+2(カウベルと鉄板を含む遠位地の一群)、ギター1、マンドリン1、チェレスタ1、ハルモニウム1、ハープ1、弦楽器群(Vn1, Va1, Vc1, Cb1)という、見るからにマラ7の編成をぎゅーっとミニチュアにした編成(やっぱりここから考えると、高関さん、これ以外のプログラム構成は考えられない、という確信に満ちた選曲なんでしょうな)。そこから立ち上がる音は、まさに細かな細かな音の結晶の集積。演奏も極めてよく練習された、隙のないもの。秀逸。

それに比べてはいけないんだろうが、作品6の方は編成が大きくなった分、「切れ」が悪くなってしまいましたねえ。できれば、血しぶきが飛ぶくらいの先鋭な音像が欲しかったところではあります(実は、ぐすたふくん、この作品6はお気に入りの曲の一つ、なんですよ。いい音が鳴るんだ、これが)。でも、4楽章での尋常ならざるものが迫りくる圧倒的な迫力は、聴きごたえ十分ではありました。

これだけで終わってもいいくらいなのに、そのあとに7番の超名演が続くのだから、やっぱり今日は格安の演奏会ですって。なぜこんなこと書くかというと・・・・だってもったいないじゃないですか、これだけの演奏会が一杯の聴衆で埋まらない、ということが!!!!このごろ満員御礼が続いていたらしい京響、今日はちょっと空席が目立つ入り。このことが真にもったいないなああああああ、と思える演奏だった、ということです。これだけでも、読んでる人にぐすたふくんの気持ちが伝わるのではないかと思いまする。

聴きながら思っていたのは、「庭師高関」ここに極まれり、という感じやなあと。作品10が枯山水なら、マラ7は後楽園か偕楽園か、いやいや、日本庭園どころじゃありませんな、夏の花が満開に咲き匂う西洋庭園、というにふさわしいでしょう。よくまあ、この支離滅裂といってもいいくらいいろんな音が突っ込まれた「20世紀セレナーデ」、整理整頓・注意深い刈り込みをして演奏効果満点に仕上げていったなあ、というのが正直なところです。

実際、1楽章の展開部後半から再現部にいたるあたりなど、普通にやってたら絶対にわけがわからなくなるぞ、これ。やっぱり大変な曲なんですって。それを「わけがわからない」で終わらせるか「おおおおお、おもろいやないけ」にまで持ってくるか、やはり指揮者の腕次第なんですな。ティルソン・トーマスがこの曲を得意にしているのも、おそらくは高関庭師と同じ才能に由来するのであろう、と深く深く納得した次第。

5楽章もまた、このどんちゃん騒ぎ、ともすれば、単にヒートアップとクールダウンを繰り返すばかりの退屈なものになってしまっても仕方がないところを、ここを出してここを引いて、と・・・・その結果、あっちでこの旋律、こっちでこの旋律、と実にいろんな旋律が鳴って線的に錯綜している、その音楽模様の面白さが際立つこと。その一方で、コーダに向かって一直線に盛り上がっていく音楽の勢いも(かなり早めのテンポ、と思いました)胸高鳴らすに十分なもので、最後の最後にカウベルをつり下がっている台をひっつかんでがんらがんらと鳴らさせていたのには度肝を抜かれたが、それをバックに大オーケストラが燦然とした黄金の光りを放つさまは、まさに「これぞオーケストラサウンド」。満足です。

流石は庭師高関、そしてそれに過不足なく対応する京響もえらい。これまで7番、若杉・大フィル、メータ・イスラエルと聴いたが、今回が一番かもしれない。メータ・イスラエルよりも、その「熱さ」「熱気」の点で上回ってたと思うんですよね。

いいマラ7を聴かせてもらいました。

次回は、いよいよ今期初めての広上定期。実は、今日、広上さんわざわざ聴きに来ていたらしい(どこにいるのかはわからなかったが)。大阪公演のチケットも買ったし、さあて、不惑わくわく、でありまする。
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コメント


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ぐすたふさま ありがとうございます

行けてはおりませんが、なにか満足しています。

コンサート会場でしか聞こえない倍音。すばらしいです。

沈着な庭師。完全に納得です。

7月定期の練習見学には出向けそうです。その後の本番のレポートはどうぞよろしくお願いしますね。

古都百話 | URL | 2010-06-19(Sat)23:55 [編集]


Re: タイトルなし

京都百科さん、コメントありがとうございます。

> 沈着な庭師。完全に納得です。

これ、実は高関さん、自分でそう名乗ってるんですよ、ネットで。まあ、なんて的確な表現なのかしら、と感心してしまいます(笑)。

> 7月定期の練習見学には出向けそうです。その後の本番のレポートはどうぞよろしくお願いしますね。

こちらこそ、練習のレポート、楽しみにしております。

実は、名古屋公演に行く極道計画進行中であります(菊本君が、ラヴェルのソロを吹くのが聴きたい!!)(笑)

ぐすたふ369 | URL | 2010-06-20(Sun)00:10 [編集]


お!!!

京響すごかったのですね。マーラーの7番をメインしながら、前でこのプログラム。すごいですよね。自信がないと絶対できないですよね。
最近、快進撃続いているようですよね。広上さんになってからすごいですね。来月の大阪特別公演が楽しみです。自分も行きますよ。大阪公演!

実はこの日は自分は兵庫芸文でゲルバーを聞いてました。京都と悩んだ末。ゲルバーは早々聞けないと。結果は最高でした。ちなみに、あの榎田さんがフルート吹いてました。やっぱり、あのフルートは大阪の宝でした。ドイツもの聴いたとき、改めて榎田さんが抜けた穴の大きさを感じました。

けんちゃろ | URL | 2010-06-21(Mon)07:28 [編集]


Re: お!!!

けんちゃろさん、こんばんは。コメントありがとうございました。

> 最近、快進撃続いているようですよね。広上さんになってからすごいですね。来月の大阪特別公演が楽しみです。自分も行きますよ。大阪公演!

いや、ほんとに「広上さんになってからすごいんです」。前々から、ベストマッチに違いないと思っていましたが、「真に」ベストマッチ。ここまでとは思いませんでした。

大阪公演、ご一緒しましょう。悲愴、ときて、シベ2、と持ってくるあたり、大阪に対する布石ちゃくちゃく、でありますな。来年は、一体何を持ってくるつもりなのか。

以前から、京響、京都定期と同じプロを大阪でやれば、はからずも2回公演にすることが出来るではないか、と言っているのですが、存外広上さん、その方向をさりげなく推し進めているようにも見えます。別に大阪定期、にすることはない。自分の回を「京都定期」と「その他定期」の2回公演にすればいいわけですよ。

ここらへん、京都百科さんがなかなかに深い洞察を見せておられます。ご興味あらば

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1509122333&owner_id=15367165&org_id=1509917081
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1514085856&owner_id=15367165&mailmagazine=1
>
> 実はこの日は自分は兵庫芸文でゲルバーを聞いてました。京都と悩んだ末。ゲルバーは早々聞けないと。結果は最高でした。

そうでしたか。でも、この10年関西で掛ったことのないマラ7の演奏会を外すわけには、ぐすたふくん、行かなかったんですよ。これで、次この曲を聴くことができるのは、さあ、いつになりますやら。

大フィルで、大植さんがやってくれる、と思ってはいるんですけれどねえ。

ぐすたふ369 | URL | 2010-06-21(Mon)23:16 [編集]


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