不惑わくわく日記

大阪でコンサートをあさっています。

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これこそ、ブルックナー・・・大フィル定期

殿下、大きくなられましたねえ。

大阪 ザ・シンフォニーホール
大フィル第 回定期演奏会
下野竜也指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
ヴァイオリン独奏 ルノー・カプソン
ベートーヴェン:序曲「アテネの廃墟」
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調
ブルックナー:交響曲第1番ハ短調(ウィーン稿)

一見しただけで、下野殿下やなあ、と思わされる、意図や意志のはっきりした理知的かつ秀逸なプログラム。キーワードは、「ウィーン」ですね。ほんとは、モーツァルトの協奏曲は5番の予定で、これだと(プログラム・ノートにも書いてあったけれど)「トルコ」というキーワードもそこに加わったんだが、なんとソリストの要望で変更とか。

京響でも、モーツァルトのピアノ協奏曲の突然の変更があったことがあるが、このときは「ソリストがさらってくる曲を間違えた」という説明がありました。さて、今回がどういう理由があるのかはわかりませぬが、まあ、「準備が間に合わなかった」んじゃなかろうか。そう決めつけるわけでもないが、こういう「突然の曲目変更」、芸術家として誠意のある対応かどうか、議論のあるところかもしれない。ただ、今回のソリスト、一切のアンコールもせず、カーテンコールもややおざなり、とまあちょっと印象は悪く、そうするとこの曲目変更についても、あまり好意的には受け取れない、といったところです。

演奏の出来は、3楽章がそれなりに良くって(短調の取り回しが巧みなんですよ)複雑な気持ながら、マル、を上げざるをえません。ただ、全体にこのソリスト、モーツァルトを弾くのにここまでの太い音が必要か?、というような弾きぶり。加えて、やや濃いめアゴーギグで、「端正」「ロココ的」という言葉からはかなり遠い。こういうところにも、この人の姿勢が透けて見えて、あまり好きにはなれそうもありませんね。以前にもどこかで聴いているはずだが、そのときの感想をまた時間があるときにでも引っ張り出して見直してみよう、と思ってます。

さて、やはりベートーヴェンとブルックナーは下野殿下の独壇場。

ベートーヴェン、ほんの10分足らずの小さな曲なのだが、8型から10型の小ぶりのオーケストラを中央にギュッと寄せて、実に「引き締まった」音像を聴かせる。これぞベートーヴェン、という言葉が思わず口を衝く。ただ、ほんとは殿下としてはもうちょっと早いテンポで押したかっただろうが、大フィルのアンサンブルの鈍くささそれを許さなかった、と思わせるところは無きにしも非ず。

そして、わざわざウィーン稿を選んだブル1は、3楽章と4楽章が秀逸。まとまりだとかサウンドの切れといった点では、3楽章が一番の聴きものだったと思うけれど、4楽章の音楽の歩みに下野殿下の成長・・・いや、成熟といったほうがいいかもしれない・・・をみた気がします。

ブル1のウィーン稿、今回ぐすたふ君初めて耳にしたのだが、4楽章においては、これまで耳になじんだリンツ稿における一気呵成に聴かせる突進性やエナジーが後退した分、後期ブルックナーに見られる濃厚な「ロマン性」・彼岸に通じる神秘性といったものが、他の楽章以上に流入してくる。下野君、これを実に「大きな」音楽に纏め上げていました。まさにそれは「巨匠」のそれ、と言っていい。以前にも書いているように、僕はチェリビダッケが振るブルックナーの中に、「巨大なもの」としか言いようのないものが圧倒的な存在感でこちらに迫ってくるのを感じるのだが、今日の下野君のブル1の中には、あきらかにチェリのそれに通じるものがあったように思います。

だから、演奏が終わった後、いつものように忙しくちょこまかと愛想を振りまく彼の姿に、あれほどの音楽を聴かせた後にそんなことせずとも・・・・と思ってしまいましたねえ。今や彼も不惑わくわく(満40歳なんですねえ)に達したわけだけど、彼の音楽はその実年齢よりもずっと先へと行っているように思う。熟成、という言葉がしっくりきます。だから、その音楽に見合うだけの、悠揚迫らざる巨匠然とした態度で居てもいいと思うんだけどなあ。まあ、でも、彼はそういうハッタリを利かせるには、あまりに誠実でシャイなのかもしれず、そこが魅力だったりもするわけで・・・・なかなか複雑ではありますね。

兵庫芸文ではブル7を振っているのに、あえて大フィルではブル0、ブル1と持ってくるあたりも、彼の人柄がにじみでてますもんね。頭が下がる人です、ほんと。

おそらくは、ブル2までしか彼は大フィルとはやらないでしょう、これからも当分の間。でも、大阪の聴衆は、きっと彼がブル5とブル8とブル9を振ってくれる日が来ることを信じて、楽しみに待っている・・・・少なくとも、僕はそうです。

殿下、またお会いする時まで、お元気で。
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コメント


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やっぱり恐るべし下野竜也

僕も聴いてきました。

大阪フィルハーモニー交響楽団 第436回定期演奏会
ベートーヴェン 劇音楽「アテネの廃墟」序曲
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216
ブルックナー 交響曲 第1番 ハ短調 ウィーン稿
大阪ザ・シンフォニーホール

いい演奏会でした。
よかったら見てください。

http://hccweb6.bai.ne.jp/waiwai/concert2010.htm

ブルックナーの交響曲全番号制覇まであと2番を残のみ。

わいわい | URL | 2010-03-20(Sat)23:30 [編集]


Re: やっぱり恐るべし下野竜也

わいわいさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

> いい演奏会でした。

同感です。記事も拝見しました。「良く鳴らしていました」というくだり、そのとおりですね。ブルックナーは、やはりこの音で聴きたいものだ、としみじみ思いました。センチュリーのブルックナーには、求めても得ることができないもの・・・今期、小泉ブルックナーを聴いてきた私としては、これが正直な感想です。

> ブルックナーの交響曲全番号制覇まであと2番を残のみ。

私も同じです(笑)。2番、絶対下野殿下がやってくれるものと信じておりまする。

ぐすたふ369 | URL | 2010-03-21(Sun)00:56 [編集]


ルノー・カプソン

こんばんは。

カプソンって本当に、感じ悪かったですね。モーツァルトに合っていなかったのというご意見にも、全く賛成です。

この人、大植さんがラフマニノフの交響曲第2番を指揮した定期でブルッフを弾きましたが、あれも全く印象に残りませんでした(ぐすたふさんも聴かれましたよね?)。どうもいけ好かないヴァイオリニストです。

大フィル定期は「何でこのソリストをわざわざ外国から招くの?日本にもっと優れた音楽家がいるのに」というケースが非常に多い気がします。モーツァルトのピアノ協奏曲を弾いたジャン=フレデリック・ヌーブルジェもその一人です。

雅哉 | URL | 2010-03-21(Sun)01:03 [編集]


Re: ルノー・カプソン

雅哉さん、こんばんは。

> この人、大植さんがラフマニノフの交響曲第2番を指揮した定期でブルッフを弾きましたが、あれも全く印象に残りませんでした(ぐすたふさんも聴かれましたよね?)。どうもいけ好かないヴァイオリニストです。

ご指摘を受けて、この時のコンサートの記事を見てみました。2007年の12月、2年とちょっと前ですね。

「そして、1曲目のブルッフにおいては、この間のべー7の如く音楽は切れかけた蛍光灯のような明滅を繰り返し、最後のコーダになって漸く立ち上がりを見せるものの・・・・やはりこれまでなのか?これで終わりなのか?と思わせるような出来」

この時は、大植さんが絶不調のころで、ラフマニノフの中に光明を見出して涙した、という演奏会だったんですよね。全くソロは無視!!!まあ、雅哉さんも仰るように、その程度の演奏だったんでしょう。

> 大フィル定期は「何でこのソリストをわざわざ外国から招くの?日本にもっと優れた音楽家がいるのに」というケースが非常に多い気がします。

ここらへんの事情はよくわかりませんが・・・・ただ、若手のソリストを招く傾向はこのごろあるように見えます。ここらへん、大植さんの意向もあるんでしょう。あたりはずれは、世の常、これは、と思える若い才能との出会いを楽しみにするのも、また一興かもしれません。

ぐすたふ369 | URL | 2010-03-21(Sun)01:14 [編集]


下野殿下!

ぐすたふさんこんばんは。「下野殿下」、あまりにいいえて妙なので笑ってしまいます。これぐすたふさんのオリジナル呼称なんですか(笑)?愛すべき殿下ですよね。

関西でそんなにいろいろとブルックナーを振っているとは知りませんでした。東京では、僕が知らないだけかもしれないけれど、ほとんどやっていないかと思います。さすがにスクロヴァ氏の目の黒いうちは読響では無理だろうし、読響でやらないなら他の在京オケでもやりにくいでしょうし。

>でも、大阪の聴衆は、きっと彼がブル5とブル8とブル9を振ってくれる日が来ることを信じて、楽しみに待っている・・・・少なくとも、僕はそうです。

東京でも楽しみに待ちましょう。スクロヴァ氏が監督から退かれる来季以降、いずれやってほしいものです。

それにしても演奏終了後の「忙しくちょこまかと」、これもあまりにも本質をついたご指摘!もっと堂々としても良いだけの充実した音楽をやってくださっているのだから、もうちょっとなんとか、と思います。オケを率いるマエストロなんですから。聴衆には、オケの人たちに拍手したいという気持ちがあるのと同じく、指揮者にも拍手をしたいという気持ちがあるんです、そういう聴衆の気持ちを受けてとめてほしいですよね。

けれど、このごろの指揮者にはこのような「ちょこまか系」あるいは「遠慮しすぎ系」の方々が多すぎると思います。例外的にすばらしいのが大植監督のカーテンコール。このような「貫禄系」の指揮者がもっと増えてほしいものです。それでこそ拍手のしがいもあるというもの。

じゃく3 | URL | 2010-03-22(Mon)00:15 [編集]


Re: 下野殿下!

じゃくさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

>これぐすたふさんのオリジナル呼称なんですか(笑)?愛すべき殿下ですよね。

そうです。多分、私だけだと思います(笑)。下野君は、笑って許してくれると思って使ってます。私としては、愛をこめて使わせてもらってるつもりですけど。

> 東京では、僕が知らないだけかもしれないけれど、ほとんどやっていないかと思います。さすがにスクロヴァ氏の目の黒いうちは読響では無理だろうし

やっぱりそうなんですか。PACオケでブル7をやった時、これは相手がPACだからこそあえて選んだんだろう、とは思っていました。東京では、もうちょっとやってるかと思っていましたけれど。

仰るように、来期以降の読響、私も楽しみではあります。

> このごろの指揮者にはこのような「ちょこまか系」あるいは「遠慮しすぎ系」の方々が多すぎると思います。例外的にすばらしいのが大植監督のカーテンコール。このような「貫禄系」の指揮者がもっと増えてほしいものです。それでこそ拍手のしがいもあるというもの。

まあでも、大植さんも、このカーテンコール、大阪クラシックで団員に真似されたりして、えらい目にあってはりますけれど。

指揮者、というのも、音楽だけじゃなく、大変な稼業でありまするね。

ぐすたふ369 | URL | 2010-03-22(Mon)02:18 [編集]


Re(2):下野殿下

ぐすたふさんおはようございます。

>まあでも、大植さんも、このカーテンコール、大阪クラシックで団員に真似されたりして、

なんとまぁ!そんな不届きで面白いオケマンがいるなんて、大フィルっていいな。大阪クラシック、一度は参加してみたいです。

じゃく3 | URL | 2010-03-22(Mon)09:07 [編集]


Re: Re(2):下野殿下


> なんとまぁ!そんな不届きで面白いオケマンがいるなんて、大フィルっていいな。

いやまあ…・みているこっちが引いてしまいましたが(http://plaza.rakuten.co.jp/gustav369/diary/200809120000/

もし、お時間があれば、夏の大阪でご一緒しましょう。

ぐすたふ369 | URL | 2010-03-22(Mon)09:59 [編集]


殿下(笑)

グスタフ様、はじめまして。
ブルックナーの1番を偏愛しているarabesqueです。

下野殿下(はまりすぎて爆笑!)のブル1、
聴きたくてたまらなかったのですが、
スケジュール的にどうしても無理だったので、
せめて、聴きに行かれた方の感想をと
検索をかけたら、こちらがヒットしました。
おかげさまで、殿下のご様子が
手に取るように分かりました(笑)、ありがとうございます。

私は関西在住ではないので、
大フィルは聴いたことがありませんし、
内部事情等も存じませんが、
殿下は大フィルで、0番から順番に9番まで録られる
ものと勝手に思っていましたが・・・どうなんでしょうね?


兵庫芸文でブル7を振られた時、
これまた行けなかったのですが、
もしかして、兵庫にお墓があり(でしたよね?)、かつ
"ザンクト・フローリアンの朝比奈"先生への
レクイエムだったりしたんじゃないかなぁと想像しています。

また遊びに来させてください。

arabesuque | URL | 2010-03-23(Tue)10:29 [編集]


Re: 殿下(笑)

こんばんは、arabesqueさん、こちらこそはじめまして。コメントありがとうございました。

> 私は関西在住ではないので、
> 大フィルは聴いたことがありませんし、
> 内部事情等も存じませんが、
> 殿下は大フィルで、0番から順番に9番まで録られる
> ものと勝手に思っていましたが・・・どうなんでしょうね?

残念ながら、今回のブル1は録音していなかったように思います。ブル0のCDが出たのは、本当にCD会社の英断だと思いますが、よくまあ踏み切ったなあと。

> 兵庫芸文でブル7を振られた時、
> もしかして、兵庫にお墓があり(でしたよね?)、かつ
> "ザンクト・フローリアンの朝比奈"先生への
> レクイエムだったりしたんじゃないかなぁと想像しています。

ううむ、僕はその意識は、あまりなかったんじゃないかなあと思います。おそらくは、PACでブル7を振ることが、自分にとっても、オケにとっても、everyone happyだとおもったからこその選曲だったのだと思います。そういうことを常にこの人、考えている、本当にいい人なんですよ。

> また遊びに来させてください。

これも何かのご縁、これからもお話を聞かせてくださいませ。

ぐすたふ369 | URL | 2010-03-23(Tue)22:19 [編集]


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| | 2010-03-24(Wed)13:14 [編集]


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