不惑わくわく日記

大阪でコンサートをあさっています。

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この演奏会、できればポジティブな気分で聴きたかった・・・センチュリー特別演奏会

真に感動的な力演。

大阪 ザ・シンフォニーホール
センチュリー創立20周年記念特別演奏会II
沼尻竜典指揮 大阪センチュリー交響楽団
ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団・岸和田市少年少女合唱団(合唱指揮 本山秀樹・松尾卓郎)
カティア・レフコヴィチ(ジャンヌ・ダルク)、ミシェル・ファヴォリ(ドミニク修道士)
谷村由美子(Sp)・渡辺玲美(mSp)・竹本節子(Ar)・田村由貴絵(mSp)
高橋淳(Ten)・望月哲也(Ten)・片桐直樹(Bs)
オンド・マルトノ 原田節
オネゲル:劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌダルク」(演出 小須田紀子)


こうやって書き出してみても、ものすごい数のキャスト・スタッフ。これ以外にも、副指揮者に4人の稽古ピアノをはじめ、映像・舞台監督から大道具・小道具・照明・音響・・・・エトセトラ・エトセトラ。こりゃ、コンサートというよりも、まさにオペラ公演、ですよね。加えて、字幕を実相寺昭雄がやってるわ、曲目解説を片山杜秀がやってるわ・・・どれだけの時間と金と労力を費やしてるんやろ?まさに、「特別演奏会」、ここに極まれり、でありますな。

これだけの公演、できれば満員の入りで迎えてあげたかったが・・・残念ながら7割程度の入り、ぐらいかな?(まあ、でも、大フィルの60周年記念公演の一連のものにくらべれば、ずっと入っていたとは言えるが)オネゲルの名作の誉れ高い曲の貴重な公演、だというのになあ・・・でも、これにこの程度しか客が入らない、のが大阪の現実なんでしょう。逆に、京響の「グレの歌」にしても、今日の公演演目にしても、東京ならいっぱいになるんだろうか?誰かに訊いてみたい気もしますが。

ともあれ、公演としては、極めてハイレベルのもの。正直、脱帽、です。

バルコニーにピラミッド状に積み上げられたホワイトボード、その前に二人の役者が陣取り、ホワイトボードに映し出される映像をバックに演じていく、というのが基本的なライン。合唱団は、少年少女合唱団も含めて黒ずくめ(これはそろいのプリント柄の黒のTシャツで、終演後に、ロビーで売ってました)、ソリストは舞台上もしくはホワイトボードの横あたりに出たり入ったり。そして、ホワイトボードが照明で赤く染まったり青く染まったりしつつ、舞台演劇的効果を上げていき、最後には十字架がそのボードから分離して、ジャンヌダルクの背後に立ち上がる、という趣向。

こういう演出は、確かに興味深いもので、それなりの効果を上げていたけれど、僕にとっては、ちょっと邪魔、だったかもしれない。逆に、こういう演出、実際に鳴っている音の響きの透明さ・深さに比較して、あまりに安っぽくて下世話に感じられるんですよね。

そんなものなくても、演奏そのものの力で心が揺さぶられること、十分以上、と言っていい。特に、第7幕でカトリーヌとマルグリートが現れてからの音楽の歩みのドラマティックなことと言ったら!!沼尻君、これでもか、これでもか、と畳みかけるように、ぐいぐい、とドライブしていきます。

そして到達した「ジャンヌの剣」や「トリマゾ」での透徹した哀しみ・・・・ぐすたふくん、少女の声とジャンヌが互いに呼び交わすくだりで、不覚にも涙をこぼしてしまいましたもんねえ。

とにかく、ジャンヌ役のレフコヴィチ嬢の声がいい・・・この鼻にかかった潤んだ地声で、フランス語独特のくぐもった響きが放たれるときの、何とも言えない官能の匂い・・・もう、ほとんど「エロティック」ですね、怒られそうだけど。

また合唱も秀逸。なんで、カレッジオペラハウス合唱団なんだろう、と思っていたが、実は、11月にこの合唱団、カレッジオペラで同じ演目をやってるんですね。合点がいきました。この難曲、ほぼ望みうる最上の出来で仕上げてきた、と称賛されてしかるべき。最後の「ジャンヌ!ジャンヌ!」の荘厳な大合唱と、そのあとに続くピアニッシモの「愛する者にみずからの生命を与えるより大きな愛はなし」との美しさの対比の見事さ。

本当は、ぐすたふくん、このジャンヌ・ダルクの物語自体は好きじゃないんです。あまりに残酷な話だし、人間の獣性というものを嫌というほど思い知らされるし、それをして倒錯的な聖性に至るあたり、キリスト教のマゾヒシズムの極致を見る思いがするし・・・できるなら、敬して遠ざけておきたい物語、なんですよね。

そういう物語をここまで浄化して・・・それこそ、蒸留して熟成させ、真に感動的な音楽劇に仕上げたオネゲルという作曲家(それを言えば、台本を書いたクローデルも只者ではないのだろうが)、やはり只者ではない、と改めて思い知りました。すごい作曲家だわ、やっぱり。

しかしまあ、それにもまして沼尻竜典という指揮者、その才能にも改めて瞠目する思い、です。実はこの人、こういう「ドラマ」にこそ真の力を発揮するんだなあ・・・・それは、この間のタコ11でうすうす感じていたが、今日の公演で確信しましたね。徹頭徹尾「オペラ」「演劇」の人なんですよ。逆に言えば、抽象的・絶対的な音楽では、その魅力は十分に発揮されない。しかも、音や響きの感覚がかなり「モダン」だから、今日のような作品、まさに彼のためにあるような作品でしょう。

ただ、惜しむらくは、昨今の状況がなければ、この公演をしてセンチュリーの一つの到達点・大阪オケ文化の最良の果実という言葉で手放しで賞賛できたであろうに、ということですよね。どうしても、こんな贅沢が許されるのか、という醒めた視点が頭の後ろのほうでしてしまうんですよ。

だから、というわけではないけれど、もっと多くの人がこの会場に足を運んでほしかった、そして何かを感じてほしかった・・・・心から、今、そう思っています。
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コメント


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実相寺さんは亡くなっていますので、字幕はおそらく過去に使われたものを借りていると思います。

通行人A | URL | 2010-03-16(Tue)08:32 [編集]


Re: タイトルなし

通行人Aさん、こんばんは

> 実相寺さんは亡くなっていますので、字幕はおそらく過去に使われたものを借りていると思います。

そうだったんですか、知りませんでした。

ぐすたふ369 | URL | 2010-03-16(Tue)22:35 [編集]


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