不惑わくわく日記

大阪でコンサートをあさっています。

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別れではない、これは「襲名披露」だ・・・・大植英次スペシャルコンサート

大植英次、大阪の聴衆は、あなたを「大阪のマエストロ」として、これからも語り継ぎ、忘れることはない。

大阪 ザ・シンフォニーホール
大植英次スペシャルコンサート
大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(ハース版)

大植・大フィルの3回目のブル8にして、最高・最大の音楽。

これまでの大植さんのブル8は、色々とドラマチックな仕掛けを施すのだが、それは確かに美しい瞬間ももたらすし、腹に堪えるサウンドにも事欠かないけれど、結果としては逆に音楽を小さくしてしまって、後期ブルックナーの曲に宿る「巨大なもの」がそこに出現しないもどかしさがあったように思う。しかし、最後の演奏で、大植英次はそこを突き抜けたところに自らを置くに至った、そう言っていいのではないかしら。

ブルックナー指揮者、と言われるに相応しい、大きな大きな音楽が聴けました。

今日の音楽の大きさを仰ぎ見ながら、やはり朝比奈御大の大きな音楽の峰をそのかなたに見ていた聴衆は、決して少なくは無いだろう。そして、見上げればそこには、ブル9の時と同じように、スタンバイされ、ライトアップされたオルガンがある。そこにだれが居るか、今日は、誰もがわかっていたのだろう、と思う。

今日の3楽章、打楽器がカタストロフを奏するクライマックスに向けて長い長い階梯を昇る音楽が、ハース版に残されたフラグメントの所で一度身をよじり、そのあとでむせび泣くように血の涙を流して神に向かって救いを求める、そのストリングスの言語を絶した美しさ。それがさらに高みへと到達するまでの歩みの、時間を超越した巨大さ。そのあとに訪れる慰撫の、その肌触りの無限の優しさ。

4楽章、展開部が終わった瞬間に突然屹立する音楽の巨人、それに左右から腰を浮かせて体当たりをくらわせる長原幸太と佐久間聡の雄姿。この姿も、今日が見おさめ。

雷神の一撃を、迷いなく打ち込む堀内吉昌のティンパニの鮮烈さ。漆黒の闇と救いの光を共に描き分ける、藤原雄一率いるワグナーチューバ部隊の響きの深さ・・・・楽員一人ひとり、パートひとつひとつに、あらん限りの言葉でもって語ろうとしても、それでも足りない様な気がする。

終演後、長い長いカーテンコールの末、事務方から手渡された花束から薔薇を一輪抜き取り、大植さんがそれを掲げて指揮台に上がった瞬間・・・・僕を含めて、そこに居た全ての聴衆が、一斉に立ち上がった!!まるで、それが合図でもあったかのように。誰が何を言ったわけでも、促したわけでもないのに!

それは、「大植英次」が「大阪のマエストロ」を襲名した、歴史的な瞬間だったように思う。

大阪の聴衆の拍手は温かく、そしてみんなが共有する空気は慈愛に満ちていて・・・・・この時間を共有出来ることが何よりの財産、そして音楽の奇跡。僕がここに居ることができる、そのなんという幸福。

大植英次、ありがとう。大フィル、ありがとう。

そして、ここに居た大阪の聴衆のみなさん、

いや、僕と一緒に、大植・大フィルの音楽を聴いてきた全ての聴衆のみなさん

本当に、9年間、ありがとうございました。

今日、この記事を持って、不惑わくわく、お開きです。
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コメント


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お久しぶりですが、いつも読ませていただいていました。私も行きました。すごかったですね。感動を共有できて嬉しいです。ほとんどの観客が立ち上がった、最後のスタンディングオベーションは、日本の演奏会、日本のオケで初めてみました。あるんだなあと思ったほどです。私も立って拍手をしました。いくら拍手をしてもしたりないくらいでした。

ushinabe1980 | URL | 2012-03-31(Sat)23:41 [編集]


Re: タイトルなし

Ushinabeさん、こんばんは。

> お久しぶりですが、いつも読ませていただいていました。

そう言っていただけて、すごく嬉しかったです。同時に、恐縮です。Ushinabeさんの洞察に満ちた文章が、私は大好きでしたので。

>私も行きました。すごかったですね。感動を共有できて嬉しいです。

私も、本当にうれしいです。

>ほとんどの観客が立ち上がった、最後のスタンディングオベーションは、日本の演奏会、日本のオケで初めてみました。あるんだなあと思ったほどです。

私も、初めての経験でした。ざああああっとみんなが立ち上がった時の震えに似た感覚は、帰ってきて思い出しても何とも言えないものでした。こんなこと、本当にあるんですね。

もしかしたら、僕の人生で二度と経験できない日だったかもしれません。

ぐすたふ369 | URL | 2012-03-31(Sat)23:52 [編集]


自分も行ってまいりました。
本当にびっくりでした。確かに,第1楽章でお約束の金管の不安定さが出てしまったものの,そのあとは,見事でした。
特に第4楽章は,よかった!!曲に背後にある大きなもの。
本当によかったです。
最後だからこのような演奏ができたのでしょうか。

けんちゃろ | URL | 2012-04-01(Sun)00:10 [編集]


Re: タイトルなし

けんちゃろさん、おひさしぶりです。コメントありがとうございました。

> 本当にびっくりでした。・・・特に第4楽章は,よかった!!曲に背後にある大きなもの。

> 最後だからこのような演奏ができたのでしょうか。

大植英次、という人が、大フィル、という楽器を得て、大阪の聴衆、とともに成長した、ひとつの到達点だと思います。

大植さんという人は、自分という人間に何が望まれているか、そのことに誠実に応えようとする人だと思うんです。

だからこそ、こんな演奏ができたんじゃないか、と思います。


ぐすたふ369 | URL | 2012-04-01(Sun)00:20 [編集]


Re: タイトルなし

2007年4月の2回目のブル8を聴いて、こんな風に書いていました。

「おそらく、また大植さんはこの曲を取り上げるでしょう。それがいつなのか、何を思って取り上げるのか・・・・それは、その時その場に居合わせて初めてわかることなのかもしれない、そんな風に思いました。」

今日がその時、だったんですね。今、改めてそのことをかみしめています。


ぐすたふ369 | URL | 2012-04-01(Sun)00:33 [編集]


ありがとうございました

ぐすたふさん、ありがとうございました。

>大植英次、という人が、大フィル、という楽器を得て、大阪の聴衆、とともに成長した、ひとつの到達点だと思います。

本当に、おっしゃるとおりの、音楽であり、場でした。僕もこの場に居合わせることができたことの幸せに、感無量です。大阪から離れた地からではありますが、2005年のマーラー6番を聴いて以来、ぐすたふさんのブログに共感し、大植&大フィルの音楽に胸を打たれ、心震わせる7年間でした。

前にも書きましたが、大植さん、ありがとう。大フィル、ありがとう。

ぐすたふさん、ありがとう。

じゃく3 | URL | 2012-04-01(Sun)10:32 [編集]


Re: ありがとうございました

じゃくさん、こちらこそ、ありがとうございました。

>大阪から離れた地からではありますが、2005年のマーラー6番を聴いて以来、ぐすたふさんのブログに共感し、大植&大フィルの音楽に胸を打たれ、心震わせる7年間でした。

東京から大阪まで何度も通われたことに、本当に頭が下がります。私なら、そこまでできない、と思います。ここまで大植さんの音楽を愛した方がいた、ということ・・・・大植英次というひとは幸せな人だなあ、とつくづく思います。

じゃくさんにお会いできて、色々とお話できて、そしてお仲間との出会いもあって、私もホントに有難いことだと思います。大植・大フィルがなければ、きっとお会いすることもなかったような方々との出会い・・・・音楽の不思議、だと思います。

重ねて、感謝します。有難うございました。

ぐすたふ369 | URL | 2012-04-01(Sun)10:53 [編集]


なるほど

大植さんは,確かに,聴衆とともにある音楽家でした。

実は,一緒に行ったツレ(京響ファン)が大フィルの今回の演奏を聴いていった最初の言葉が,
「大阪フィルの音は温かい」ということでした。
はじめよくわからなかったけど,
グスタフさんの記事やコメント見てわかったような気がします。

人間くさい。機械的でない,人間臭さ。
朝比奈・大植監督は,大阪らしい?ともいえる,
人間臭い関西人の習性をよく知っていたのかな
ということ。おそらく,同じことを東京でやっても
あかんかったんやろうなぁって。

巧い・上手いオケは東京行けばいくらでも
あるんやろうけど,こんな音を出せるオケは
ないんやろうなぁって思いました。関東にいたころ,
オケを聴いて物足りないって思ったのは,大阪フィル
聴いていたからかなぁっておもいます。

長々と書いてしまいすみませんでした。

けんちゃろ | URL | 2012-04-01(Sun)17:32 [編集]


Re: なるほど

けんちゃろさん、コメントありがとうございます。
>
> 巧い・上手いオケは東京行けばいくらでも
> あるんやろうけど,こんな音を出せるオケは
> ないんやろうなぁって思いました。関東にいたころ,
> オケを聴いて物足りないって思ったのは,大阪フィル
> 聴いていたからかなぁっておもいます。

有難い言葉、と思います。

申し訳ないですが、京響の聴衆はやはり冷たい、と思います。温かくないです。

大フィルとその聴衆は特別だと思います。その輪の中に居させてもらえたことが、僕のこの9年間のかけがえのない経験であり、財産だと思っています。

けんちゃろさんともあの時間を共有できて、とても嬉しく思います。

ぐすたふ369 | URL | 2012-04-01(Sun)17:45 [編集]


ぐすたふさんBlogにコメントありがとうございました。

私も客席総立ちに鳥肌・・・なんせクワイヤ席からでしたからぽ凄い大迫力でした、あんな凄い光景は二度と見れないと思いました。

>「大阪フィルの音は温かい」
けんちゃろさんのおっしゃる通りですね
東京に転宅された方が同じようなことおっしゃってました。
やはり小野さん率いるビオラの美しさと温かみが大いに貢献してるように思います。

>今日、この記事を持って、不惑わくわく、お開きです。
気になる発言ですが・・・(-_-;)

jupiter_mimi | URL | 2012-04-01(Sun)23:57 [編集]


こんばんは。
始めてコメントさせて頂きます。いつも拝見しておりました。

私も、スペシャルコンサート行って参りました。
素晴らしかったですね。第三楽章は「天上の音楽」ってあるんだなと、涙が止まりませんでした。

ブログ、辞められるとの事、とても寂しいです。
またいつでもお心変わりなさって下さい。

ありがとうございました。

marutama | URL | 2012-04-02(Mon)00:05 [編集]


Re: タイトルなし

Jupiterさん、こんばんは。こちらこそ、コメントありがとうございます。
>
> 私も客席総立ちに鳥肌・・・なんせクワイヤ席からでしたからぽ凄い大迫力でした、あんな凄い光景は二度と見れないと思いました。

そうでしょうねえ。クワイヤ席から見た、180度全部が立ち上がったら、そらもう・・・・ある意味、得難い経験をされたことと思います。

> >「大阪フィルの音は温かい」
> やはり小野さん率いるビオラの美しさと温かみが大いに貢献してるように思います。

全く同感です。大フィルのヴィオラの音はホントに良い。京響の弦がいつまでたっても今一つ質感に欠けるのは、まさにここに原因があるのかな、と思っています。

> >今日、この記事を持って、不惑わくわく、お開きです。
> 気になる発言ですが・・・(-_-;)

大フィルの定期会員は、同じ席で続けることになっています。当日、ホワイエでお会いしていたのに気が付かず、失礼をいたしました。考え事をしていると、目の前30cmのものも認識しない、という性質がありまして(^^;;)。ぼーっとしつつ徘徊している姿をお見かけ頂きましたなら、わっ!と声をおかけください。はっと我にかえると思います(笑)。

4月もまたブルックナーですよね。また大フィルの音、共有出来るのを楽しみにしています。

ぐすたふ369 | URL | 2012-04-02(Mon)21:21 [編集]


Re: タイトルなし

marutamaさん、こんばんは。はじめまして。コメントいただき、光栄です。

> 素晴らしかったですね。第三楽章は「天上の音楽」ってあるんだなと、涙が止まりませんでした。

まさに「天上の音楽」・・・・その通りだったと思います。神の光が降ってきたのを感じました。

真に芸術的な体験というのは、超越的存在そのものを感じられること、だと思います。その意味で、あの時間はまさに「芸術的空間」だったと思います。「宗教的」と言い換えても、むろん正しいと思います。

> ブログ、辞められるとの事、とても寂しいです。
> またいつでもお心変わりなさって下さい。

過分なお言葉、恐縮至極です。ブログは終わりますけれど、ハンドルネームはこのままにして、このネット社会の中で暮らしていこうと思っています。またどこかで見かけたら、「あの”不惑わくわく”のぐすたふ」か、と声をかけてください。

多分、恥ずかしそうに、「そうです」と応えると思います(笑)「もう”不惑”でもないんですけどね」とでも付け加えて。

ぐすたふ369 | URL | 2012-04-02(Mon)21:29 [編集]


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