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不惑わくわく日記

大阪でコンサートをあさっています。

メタリック・ショスタコーヴィチと白いブルックナー

聴き終わった時の印象を素直に述べるなら、タイトルに書いた如し。

大阪 ザ・シンフォニーホール
大フィル第445回定期演奏会
大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
ショスタコーヴィチ:交響曲第9番変ホ長調作品70
ブルックナー:交響曲第9番二短調

例によって、1日目はバルコニー席から、大植さんの指揮をじっくりと見ることにしているわけだけど・・・・明日は定期席から聴く(ことができるはずなんだけど(笑))ので、簡単に。

大植さん、この二つを並べたことは、純粋に「9番」を並べた、という意味以上のものはない、と思いました。この2曲の間には、なんら内的関連性を大植さんは感じていない。それは明らか。(後註:これを書いた後、大フィルブログを読んで、大植さん自身の語りから、ベートーヴェンという鏡を間に挟んだコントラストを目指したように感じました)

そして、ショスタコーヴィチを指揮している時の棒は、奇数楽章では「固く!!もっと固く!!!」、偶数楽章では、「ひそやかに!!もっと密やかに!!」

「真実は、小さな声で囁くように語られる」
 然り、そして
「大きな声で語られることは・・・・みんな嘘っぱちさ!!」

ひたすらメタリックな響きを指向する音が形作る1楽章と3楽章は、その音が徹底すればするほど、紛いものの胡散臭さを撒き散らし、内に内にと沈潜していく2楽章と4楽章は、謎めいた呟きに終始する。

そして到達した、終楽章、突風のようなストリングスの嵐のあと、喜びのクライマックスに到達したかのような音楽が出現するにもかかわらず、それを振る大植さんの顔はこれ以上は無いほどの険しい表情で・・・・その振りおろされる棒が刻むリズムは、これは・・これは・・・

・・・・「シュプレヒコール」ではないか!!

大植英次の描くショスタコの9番は、例えるなら「体制の欺瞞」と「民衆の蜂起」・・・今の、アラブ世界の出来事を彷彿とさせるが如くの・・・・

まさか、こんな音楽がここに出現しようとは・・・・大植英次、恐るべし。

今日は、これだけでいいのかもしれない。

でも、後半のブルックナー、ショスタコとは対極の如くの自然体に徹した指揮は、大フィルから「そうそう、その音、その音」と呟くように、これもまた前半のショスタコとはかけ離れた、木質の美しい響きを導き出す。その行きつくところは、

白い世界。

今日の大フィルの音、このブルックナーの関しては、「できあがって」いました。
明日は、もう一度この音を反芻しに出かけることにします。

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