不惑わくわく日記

大阪でコンサートをあさっています。

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「大植英次のブラームス連続演奏会」その一区切り

このチクルスの中では、一番印象深い演奏会だったです。

大阪 ザ・シンフォニーホール
大フィルブラームス交響曲全曲演奏会IV
大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
ヴァイオリン独奏 竹澤恭子
チェロ独奏 デイヴィット・ゲリンガス
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための協奏曲イ短調 作品102
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98

やはり、協奏曲に力点が置かれた演奏であるのは、ここまでの3回と一緒。とにかく、このドッペルのソリスト二人の熱演にとどめをさす。

この曲、やっぱり「協奏曲」としては「ヴァイオリン協奏曲」よりは「チェロ協奏曲」なんだと思います。チェロがよほど強力でないと、面白くならない。以前、大植さんが、長原君と当時のチェロトップとでこのドッペル、定期でやったけれど、その時は明らかに不均衡。チェロが弱いのはいわずもがな、ヴァイオリンが立ち過ぎることも、この曲にとっては良くないんですよね。それに加えて、この曲はコンチェルトならぬ「巨大ピアノトリオ」という側面もあり(こうして考えると、ブラームスと言う人も、ショスタコに負けず劣らぬ「二重人格」ですな)、二人してオケの大音量をはじき返すほどの音圧を生み出して初めて、オケーヴァイオリンーチェロの「トリオ」的構造がそこに立ち現れるわけで・・・

だから、1楽章の濃厚なこの二人の絡みやきしみが、今日の演奏の最大の聴きものだったと思いますね。竹澤さんは予想どおりの分厚い音像で想定範囲内ではあったが、前回のプロコフィエフの印象からもっとあっさりかと思っていたゲリンガスさんが、野暮ったいまでの渋い音を聴かせたのには、少々驚きましたけれど。

14型フル編成のオケも、この二人の濃厚な音楽にがっぷり4つに組む濃厚なサウンドを聴かせ・・・・このチクルスの協奏曲「濃厚演奏」ラインアップの最後を飾るに相応しい、としていいですな。「ブラームス」を聴いたなあ、ああお腹いっぱい、って感じです。

しかも、アンコールがあって・・・・なんと、ゲリンガスさん、3楽章をみんなでもう一回やることを提案。大植さん、目をむいてはりましたが(笑)。この演奏が、ちょっと肩の力を抜いた、アンサンブルを楽しみましょう的なノリがあって、それはそれでよかったです。なんか、懐かしの大学オケの初見大会みたいな匂いがして(^^)

さて、問題の4番です。

以前の記事でも、予想を裏切られっぱなしの今回のチクルスでのシンフォニーパートですが・・・・今回も、前半二楽章と後半二楽章でこうも変わるとは。

だって、前半の二楽章を聴いてたら、このままで行くと思うじゃないですか。流れを大切にした演奏。不要な「タメ」は注意深く排し、楽章の最初から最後までを、大きなフレーズで歌いきるような「流麗」という言葉がぴったりとくる、そしてある意味「カラヤン美学」が透けて見えるような演奏。

そうか、ブラ4のキーワードは、「美しき流れ」「旋律美」なのか・・・・と思ってたら、いきなり3楽章からマーラーが顔を出す。ええええええ?このスケルツォは、まるでブルレスケか、「煉獄」か?

そして4楽章に至っては、仮面も衣装もかなぐり捨てたかのごとくに、まるでそれこそマーラーの9番・終楽章の冒頭のような慟哭でもって、パッサカリアの幕が切って落とされる。そしてそこからは、大きく揺れるテンポ・振幅の大きなダイナミクス・・・・グロテスクというまでではないが、世紀末的耽美一色に塗り込められた「後期ロマン派」音楽の濃密な時間。この曲が初演された後、シェーンベルクやウェーベルンが、夜の匂い漂う独特の音響色彩に満ちたパッサカリアを書くことになる、そのことの必然を思い知らされるような演奏。こんな4楽章が続くとは、だれが予想するだろう?

いやまあ、最後まで策士大植・・・・感服いたしました。4番と言えばだれもが、あのアクシデントの4番を思い浮かべると思うが、あの時たとえ大植さんが振っていたとしても、おそらくはこんな4番にはなっていなかっただろうと思う。きっと、全然違うものだったろう。

これこそが、今の「大植英次のブラームス」。そしてこれが、一区切り。ああ、全部聴きに来れたんだなあ、本当に良かった。その幸せ、しみじみかみしめています。

そのあと実はいろいろと面白いことがあって・・・・スクープ!!実は、ブラ4には失われたイントロがあった!!!だとか・・・他にも色々あるんだけど・・・・でも、大植さんが「ブログに書いちゃだめですよ!!」っていうもんだから・・・・ぐすたふくん、書けません(笑)。

今日の演奏会場に居た人だけが知っている秘密、ですもんね。ね、みなさん(^^)
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コメント


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ぐすたふさま 待っておりましたよ

後半の、あっちゃの世界志向の演奏、大植さんのしかめた顔がただちに想像できる、臨場感あふれる記事、まことにありがとうございます。

あんまりブラームスには興味のない私ではありますが、会場限りの秘密は、秘蔵のブレンデッドと引き換えにしましょうか。

スクープの件はブラームスではなくて、それとも人事?

古都百話 | URL | 2011-02-10(Thu)00:37 [編集]


Re: タイトルなし

京都百科さま、おはようございます。

> スクープの件はブラームスではなくて、それとも人事?

いえいえ、人事ではありませぬ。

大植さんが、ドイツ国立図書館(だったかしら)ブラームスの自筆譜面を貸してもらって来ていて、それを手に指揮台に登場。ブラームスが書き加えたのち、また消した冒頭4小節を指し示しつつ、「もしかしたらアジア初かも」という、この冒頭4小節を復活させた演奏をやったんですよね。

「アーメン」を思わせる和音の連続から、あの最初の旋律が立ち現れる様は、これもまたアリか、と思わせるに十分な美しいものでした。

これは、書いていいと思うので(いいですよね、大植さん??)、書かせてもらいまする。

ぐすたふ369 | URL | 2011-02-10(Thu)07:29 [編集]


幻の4小節

ぐすたふさん、こんばんは。2曲とも名演で、大植さんのレクチャーも愉しかったですね。

>「もしかしたらアジア初かも」という、この冒頭4小節を復活させた演奏をやったんですよね。

帰宅して調査してみると、アジア初どころかザ・シンフォニーホールですら初演でないことが判明しました。

http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/concert/20010130.htm

ま、ご愛敬ですね。

雅哉 | URL | 2011-02-10(Thu)22:39 [編集]


Re: 幻の4小節

雅哉さん、こんばんは。コメントありがとうございます。

そうですか、曽我さんがやってたんですね。いかにも曽我さんらしいなあ。

でも、ブラームスが付け加えたイントロが、あの祈りに似たコラールであった、ということが、ブラームスがこの曲に込めた想いというものを、はからずも指し示している、そんな気がしました。

4番の秘められた謎(僕はこの曲こそ、「エニグマ」交響曲だと思っています)へ近づく、ひとつの鍵、なのかもしれません。

ぐすたふ369 | URL | 2011-02-10(Thu)23:28 [編集]


良かったです!

ぐすたふさんこんばんは、僕も無事この演奏会を聴けました。4番の終楽章、聴きながらうれしさがぞくぞくとこみあげてきてました。良かったです!

じゃく3 | URL | 2011-02-10(Thu)23:44 [編集]


Re: 良かったです!

じゃくさん、こんばんは

>僕も無事この演奏会を聴けました。4番の終楽章、聴きながらうれしさがぞくぞくとこみあげてきてました。良かったです!

そうだったんですか!!残念だなあ、あらかじめ教えてくださっていたら!!

終楽章、欲を言えば、コーダで大フィルがもう一段、突き抜けた音を響かせることができたなら、とも思いましたが・・・でも、あの時間を共有させていただいたことに、感謝です。

ぐすたふ369 | URL | 2011-02-11(Fri)01:06 [編集]


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